実に一〇回に七回は、弱い痛みを伴うショックをしばらく待つより、もっと痛みの強いショックを即座に受けるほうを、被験者は選びました。
我々がここから推論したのは、不安、つまりよくない結果を予想することですが、それには強力なエネルギーがあるということです。
ということは、キツイ仕事ほど早いうちに片づけた方がいいということになるわけですが、あくまでも事情が許せば、と条件をつけたくなる話です。
マーク・フォースターも「ファーストタスク」となづけ、5分でもやるようにしないと、何も進まない。「一ヶ月も論文を書けないのだがどうしたらいいか?」と質問されたのに対し「進まないのはやらないからだよ」と答えています。
そもそも、朝は相対的に多い認知資源を、昼過ぎにはかなり失います。これはこのブログの中で繰り返し述べてきたことです。
主観的な元気さは、真昼を境にV字衰退します。このこともすでにこのブログの中で述べました。
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睡眠時間を増やした方が時間の節約になるかもしれない | ライフハック心理学
以上だけでも朝のなるべく早い段階で「キツイ仕事を済ませてしまうこと」を指示せざるを得ません。それに加えて冒頭のように「きつさを先送りにするとそれの不安でエネルギーを奪われる」となると、キツイ仕事を後に、特に午後以後に伸ばすべきいかなるまっとうな理由も見いだせそうにありません。
にもかかわらず、少なくとも私の経験では、午後に長い時間をかければ、朝にやり逃した厳しめの仕事をこなすことができ、そのダメージは大きいものの、やっぱりキツイ仕事をこなしてしまうことのほうがベターです。
というのも、朝のキツイ仕事を夕方に延ばすというのは1日の中だけの話ですが、これを週間・月間でやり始めると、不安によるエネルギーの収奪が慢性化するからです。
ここから先は推測ですが、以上のような長期的な懸案事項の先送りが、もはや意識にとどめることのできない分量にのぼると、数え切れない要素が引き起こす不安によるエネルギーの収奪が慢性化し、慢性的に何もしたくなくなるのではないかと思います。
こうなったら最初に戻って、そもそも「よくない結果を予想すること」をやめなければいけないと考えます。荒療治でキツイ仕事から一つ一つ片づけていくのが最善かもしれませんが、それは無理だということであれば、気になることをどれほど将来になってしまってもいいから一通り時系列上に置いてしまうことです。
(カレンダーはやめた方がいいでしょう。当該日が来たらどんどん先送りのためにドラッグしなければならず、バカげた操作と思えるからです)。
日付を一斉に変えられるリストで管理するのがベターです。